ゼミナール

「こう住む、ああ住む」ゼミナール

第5回〈本編〉 職住分離派 vs 職住一体派

職住スタイルの決め手は、
スペースだけの問題じゃない。

2016年9月1日更新

働き方の多様化に伴い、
仕事をする「場所」にも選択肢が広がっています。
そこで今回は、「自宅と職場の距離感」に着目!
自営業を営みながら自宅とは別にオフィスを構えるKさんと、
同じく自営業で自宅兼仕事場を持つSさん、
パパであり経営者でもある二人の男性にお話を伺いました。
実は職種も年齢も、さらに家族構成までそっくりな今回の二人。
選択の決め手は、一体何だったのでしょうか?

〈 職住分離派代表 〉
自営業 Kさん

広告・マーケティングの企画制作を行う会社を設立し、自宅のある京都と東京に2つのオフィスを構える。ライターの奥様と小学校に通う2人の息子さんの4人暮らし。

〈 職住一体派代表 〉
自営業 Sさん

フリーランスのアートディレクターとして、企業や地域のPR・ブランディング等に従事。
1歳から小学1年生まで3人の息子さんに囲まれたにぎやかファミリーのお父さん。

スペースの問題よりも大事なことがある。

お二人とも企画やデザインといった、働く場所を比較的自由に選べるお仕事をされていますよね。しかも自営業。一般的なお仕事に比べて選択肢も広かったと思いますが、なぜ今の職住スタイルを選ばれたのでしょうか? まずはKさんから、現在の職住スタイルを教えてください。

私は京都在住ですが、東京での仕事も多いのでオフィスは京都と東京の2か所に構えています。自宅はまあまあ広めのマンションですが、どーんと広いLDKと家族の寝室があるだけで自分の書斎はありません。なので、自転車で5~10分の場所に別途オフィスを借りています。

なるほど、では間取りの都合上、職住を分けた…ということでしょうか?

いえ、私の場合は最初から分ける発想しかありませんでしたね。スペースの問題がなかったとしても、「自宅オフィス」という選択はしなかったと思います。現にライターの妻は自宅で仕事していますから、家でもできなくはないんです。

オフィスを借りたのはスペースの問題だけではなかった…と。詳しくはこれから探っていくとして、対するSさんにも現在の職住スタイルを選んだ理由を聞いてみましょう。

幼い頃から、「自宅兼仕事場」というスタイルを夢見ていました。建築家や絵本作家など、憧れた人たちの多くが自宅に素敵なアトリエを持っていたからです。残念ながら僕の今の仕事部屋は素敵とはかけ離れていますが(笑)。
あと、家族と一緒に昼食をとったり気分転換に子どもと散歩できたら幸せだろうな、という思いも大きかったです。今は朝8時ごろに子供たちを送り出してから仕事をスタートし、昼食は妻と、夕食は家族と一緒にとっています。夜に子どもを寝かしつけた後また仕事をすることもありますが、できるだけそうならないように日中に集中して済ませるようにしていますね。

普段からご家族と食事ができるのは大きなメリットですよね。日々、その良さを実感されていますか?

いったん仕事に向かうと寝食を忘れがちなタイプなので、家族と同じリズムで生活できるのは健康管理の面でありがたいなと感じます。数年前にかなり負担のかかる案件を受けた時、数ヶ月間早朝から深夜まで机に向かいっ放しで眠る時間もまともに取れないような状況になったことがあって。でも食事やちょっとした休憩を家族と一緒にとって気分転換をすることが精神的に大きな支えになり、気持ちが折れずに済みました(笑)。

ご自宅だと集中しにくいのかと思っていましたが、ご家族が一緒にいることで逆に生活リズムや気分の安定を図れるということですね。仕事に熱中しやすい人には、そうした抑制力(?)も確かに必要かもしれません。ちなみに分離派の Kさんは、食事や1日の流れはどのような感じですか?

1日のスケジュールはSさんと似ていて、私も朝子どもたちが学校へ行くのと同時にオフィスへ向かいます。お昼はオフィスの近くで取りますね。自宅まで自転車で10分とかかりませんが、昼食のためにわざわざ帰るのはちょっともったいないので。忙しくなければ夕食どきに家に戻り、家族と一緒に食事をします。仕事が立て込んでいればまたオフィスに戻ることもありますね。

本当に同じような1日の過ごし方ですね。でも、それなら自宅で仕事しているほうがラクそうだな、と思ってしまいますが…

いや、そんなことはないですよ。私にとって一番大事なのは、オフィスに行くことで「仕事をする上でのノイズがなくなる」ことですから。例えば私は整頓好きな人間なので、もし子どもたちのものが散らかっていたら注意せずにいられない。家だと仕事とは関係のないそうしたことが気になってしまい、仕事を始めるたびに「集中するための環境作り」が必要になります。その時間って、仕事にとってかなりのロスだと思うんです。あとは家庭の秩序も乱してしまいますし・・・

家庭の秩序、と言いますと??

散らかった家が気になるのは私の心持ちの問題であって、家族には関係ないことですよね。私が家にいなければ、それで問題なく毎日は進みます。会社勤めをしていた頃の私はいわゆる「モーレツ会社員」で、ほとんど家にいませんでした。それがいきなり自営業になったからって自分の秩序を自宅に持ち込むと、それまであった家庭の均衡を崩してしまいます。

はあぁ~、考え方が大人過ぎると言いますか、定年退職したお父さんみたいでびっくりしました…! 自分の利便性だけで仕事場を選ぶのではなく、家庭の秩序をも考えたうえでの職住分離、というわけなんですね。なるほど~。

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