ゼミナール

「こう住む、ああ住む」ゼミナール

第3回〈本編〉 空と暮らす高層派 vs 土と暮らす低層派

自然や街との関わり方が、
住まいの「階数」を決定付ける !?

2016年3月18日更新

人々の住まいや暮らしへの哲学に迫る
「こう住む、ああ住む」ゼミナール。
第3回は、「どの高さで暮らすか」対決です!
横浜の海を一望できる高層マンションに暮らすMさんと、
都内で子育てしながらマンションの3階に暮らすSさん
そして今回はもうひと方!
鎌倉の近くで戸建を借りて暮らすWさん
空の近くか、土の近くか…それぞれが今の住まいを選んだ理由とは?
3者対決、さっそく始めていきましょう。

〈 高層派代表 〉
主婦 Mさん

15年前に都内の低層マンションから海のそばの高層マンションへ。主婦業の傍ら、地域の子育て支援活動にも積極的に参加。

〈 低層派代表 〉
会社員 Sさん

平日は広告コンサルティングの仕事をバリバリこなし、家に帰ると育メンに変身。都内のマンションの低層階で安心子育て中。

〈 戸建派代表 〉
設計士 Wさん

自身の設計事務所を立ち上げたばかりの若き設計士。郊外の戸建住宅を借り、理想のわが家実現に向け夢は膨らむばかり。

「引っ越すまでは、休日ごとに逃避行していました」 高層派Mさんの場合

住まいの「高さ」に注目するとき、何といっても気になるのは高層マンション。地上何十階のオフィスに勤めることはあっても、そこが自宅になるなんて、一体どんな感じなのでしょう? 最高4階までしか経験のないこんどう助手は、個人的にも興味津々。今回お話してくださったのは、横浜の港近くのタワーマンションにご家族でお住まいのMさんです。高層マンションを選ぶに至った経緯を教えてください!

「今のマンションに住んで15年になるのですが、それまでは東京の都心から電車で10分ほどのエリアに住んでいました。都内の中では落ち着いた環境でしたし、住み心地は決して悪くなかったです。それでもやっぱり、ちょっと息苦しさを感じていて・・・」

息苦しさ?というと?

「あの、私の実家は神戸の六甲山の近くなんです。窓を開けると山の緑がわーっと目の前に広がるような環境で生まれ育ったせいか、自然が近くにないと落ち着かなくって。都心だと、自然と言っても公園とかになってしまうでしょ?それじゃあ物足りないので、当時は休日になると横浜の海のそばまで夫とドライブに出かけていました。窮屈さからの逃避ね(笑)」

自然を求めての逃避…。でも、それなら普通は田舎や郊外に行きそうなところですが、なぜ横浜のタワーマンションに?

「いくつか理由はありますが、ひとつは都会の暮らしが捨てがたかったこと。だから都会か田舎かではなく、街と自然を両立できる場所がよかったんです。そしてもう一つは、不動産マニアな叔母の熱心な勧め(笑)。叔母はニューヨークの高層マンションに住んでいた経験があり、『日本もこれからは高層マンションの時代よ!』と、今住んでいるマンションのチラシを突然持ってきて。調べてみたら、海のすぐそばだし、街開発にも力を入れていくようだったので、これなら街の利便性と自然の近さを両立できそうだと思いました」

実際に高層階の暮らしを体験した叔母さまの勧め…それは興味がわきますね。実際に住んでみて、どうでしたか? やはり眺望が一番の魅力でしょうか?

「眺望は申し分ありませんね。中学生の子どもがいるので、朝は6時には起きるのですが、そうすると水平線からちょうど朝日が昇るのが見えます。サーっと光が差し込んで、一気に朝が始まる。これは本当に気持ちがいい! 夏には花火も真正面からばっちり見えますし、お客様にも喜ばれますね。でも一番のメリットは、眺望よりも「安全性」かもしれません。なんせ高層階ですから、泥棒はまず入らない。何重ものオートロックで守られているのも、子育てをする身としては安心です」

たしかに、窓から空き巣が・・・なんてことはまずないですよね。一方で、不便さやデメリットを感じる点は?

「お天気がわかりません! 高層階って窓の断熱性も高いですし、24時間換気がついていることもあって窓を開けることがほとんどありません。これくらいの気温かな~と予想しても、1階に降りてみると『寒い!』となったり、上では小雨に見えても下ではザアザア降りだったり。かといって自宅が高層階だと、ちょっとマフラーを取りに戻るだけでもとっても面倒。外気に簡単に触れられないのは、子どもが小さいころは特に気になりましたね」

自然は見えても、実際の気温や天候がわからないって、なんだか不思議な感じがしますね。でも、朝日や夏の花火はうらやましい限り! 憧れます…。
ではこのあたりで、都内でマンションの低層階にお住まいのSさんに話を移してみましょう。

「自分の足で帰れること。それに勝る安心はない!」 低層派Sさんの場合

実は今のお住まいに引っ越す前は、マンションの12階にお住まいだったとか。なぜ低層へ?

「きっかけは子育てと震災です。もともと高層階に住んでいたのは、奥さんの強い要望。田舎育ちで、いわゆる"都会らしい暮らし"への憧れがあったのかな? でも東日本大震災が起こったとき、停電でエレベーターが止まるなどして大変だったんです。子どもができたこともあって、次に住むなら『自分の足で上り下りできる階』がいいと強く思いました。もともと自分は低層階が好きだったので、安全性を武器に奥さんを説得し、めでたく3階へと引っ越しました」

たしかに高層階って、エレベーターがないとどうなるのだろう? と不安になりますよね。それに比べると、万が一の時でも低層は安心かも知れません。

「自力で上り下りできる、すぐに外に出られる。日常生活の中でも、この外部へのアクセスの良さは重要です。なんなら平屋に住みたいくらい…。3階なら2歳になる子どもも一緒に階段を使えるので、成長を見られていいですよ~。都会の暮らしが好きなので、面白いもの、美味しいものにすぐアクセスできることを重視しています。外との距離感は、近ければ近いほどいいですね。働くだけなら高層階のオフィスでもいいのですが、高いところはなんだか"非日常"な気がしてしまう」

Mさんのような「天気がわからない」暮らしとは真逆ですねえ。もともと自然よりも街とつながっていたい気持ちが強いでしょうか?

「幼少の頃暮らしていた家には、通りに面して昔ながらの縁側があったんです。そこで遊んでいると通りがかりのご近所さんがよく声を掛けてくれました。その家が大好きだったので、当時の思い出が影響しているのかな? もちろんアウトドアも大好きですよ! でも、スコーンと抜けた空や水平線、地平線はむしろ不安になるかも・・・。たぶん、空より土が好きなんだと思います。樹海や洞窟にいて土のもわっとした匂いを嗅ぐと安心するし、『自力じゃ下りられないかも』っていう不安がないのもいいですね」

幼少時の体験が影響しているとは、なるほど納得できます! 空より土、というのも興味深い視点ですね。ところで、先ほどから何度か「自力で下りられる」というキーワードが出てきます。非常時への意識というか、安全性へのこだわりが強いのかなと感じますがどうでしょう?

「それはたぶん、過去の経験が影響しているのかも。震災でエレベーターが止まった経験もそうですし、生まれが関西で阪神淡路大震災も経験しているので、非常時への危機感は強いほうかと思います。あとはなぜか、モノをなくしたり自転車が壊れたりというアクシデントに見舞われることが多くて(笑)。そういう経験が、『自力で帰れる』ことへのこだわりにつながったのかもしれませんね」

過去の経験から、安全性への意識が生まれる・・・なるほど! あれ、でも待って。低層階のメリットは「万が一の時の安全性」というSさんに対し、高層派のMさんも第一のメリットは「安全」と答えています。防犯はともかく、災害時となるとSさんに軍配が上がりそうにも思いましたが… Mさん、そのあたりの不安は??

「東日本大震災の時は確かにエレベーターが止まりましたが、私のマンションはすぐに復旧。 高層階に住む前は、災害時への不安もいろいろありました。だからマンションの災害対策や地盤状態、津波の可能性まで、購入前に徹底的に調べたんです。住み心地ももちろん気になったので、すでに高層階に住んでいた友人宅にお泊りに行ったりもしましたよ~。これなら大丈夫だろう!とわかってから、今のマンションに決めました。もし迷われている方がいるなら、とにかく事前にいろいろとリサーチしてみるのがいいと思います」

ふむふむ…たしかに、万が一の場合にどんな対策が取れるのかがわかっていれば、階に限らず安心感は得られそうです。自分にとっての不安要因は何なのか、それに対してどうしておけば安心なのか。ここをきちんと把握することが大切なのですね。

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