すまい相談

近藤典子先生の「すまい相談室」

5月のご相談・ご質問

家の建て替えのため、近くのテラスハウスに仮住まいしていますが、なんだか落ち着きません。仮住まいでも落ち着けるコツを教えてください。

(ニックネーム:yachi88)

"yachi88"さん、ご相談ありがとうございます。
回答してくださるのは、住まい方アドバイザーの近藤典子さんです。
早速お願いします。

こんにちは、近藤典子です。

yachi88さん、お待たせいたしました! 

前回の「引っ越しを楽しむ方法」に続いて引っ越しに伴う「仮住まい」へのご質問です。お待たせしている間に、yachi88さんはすでに転居されて悩みから解放されたかもしれません。今回は同じような悩みをお持ちの方に向けてお答えしましょう。

また、この「すまい相談室:2016年3月号」のコラムでも、"仮住まいは暮らしのリセットのチャンス"と題して語っていますので参考にしてください。
http://www.marimoliving.jp/onayami/201603/index.html

そのコラムにも書きましたが、引っ越しに伴う仮住まいって人生にそう何度も経験するものではありません。Yachi88さんのように新居を待ちながらの仮住まいであれば、半年なり1年なりの「期間限定」です。"なんだか落ち着かない"という気持ちはとてもよく分かりますが、というのも実は私もいま仮住まい中なので‥‥、新居での暮らしまでの過渡期、というめったに訪れない不便な暮らしを積極的に楽しんでみませんか?

私は仮住まいを「3つの」と考えています。

① 暮らしのデトックスをする

ご質問者のyachi88さんは、家の建て替えのために近くのテラスハウスへ、ということですので、もしかしたら荷物は全部持って来られなくて、トランクルームなどへ預けられたのかもしれません。最小限のものでシンプルな暮らしをする。仮住まいはそのまたとないチャンスだと思います。そのときに中途半端はダメ。使うものと使わないもの、どちらかに仕分けて、最小限のものでメリハリをつけて暮らしてみることをオススメします。

なぜか。それは、ぎりぎりまで削ぎ落とすことによって、「本当に自分たちの暮らしに必要なものと必要でないもの」が見てくるから。逆に「贅沢品だと思って仮住まいには持って来なかったけど、やっぱり生活に潤いを感じるためには必要だったね」と気づくことだってあるでしょう。例えば私の場合の失敗は、いつも飾り棚に入れて特別な時しか出番のなかったワイングラス。いらないわね、と仮住まいに持って来なかったけど、その一脚でワインを飲む時間が至福の時間だったんだなとつくづく思い知らされることに‥‥。私にとってそれは"必需品"だったということですよね。仮住まいのときこそ、一見役には立たないものが潤いを与えてくれるってこともあるんです。

反対に、実用のもの、例えば台所周りのものなどは、徹底した使い回しをしてみるといいと思います。仮住まいの間は洋食器だけで盛り付けてみるとか、ワンプレートの工夫をするとか、お鍋は大鍋とミルクパンだけにして、電子レンジや炊飯器、オーブントースターなどの家電を徹底活用するレシピを覚えるとか。案外、新しいレシピと出合うきっかけになるかもしれませんよ。

② 凝り固まった思い込みを壊す

ご質問者さんが奥様だったとしたら、今までご主人にしてあげていたこと、お子さんにしてあげていたことが、スムーズにいかない苛立ちもあるかもしれません。でもね、制約された条件の中で暮らすのですもの、できなくて当たり前! ここは家族全員で不便を楽しむという気持ちの共有が大事。〜せねばならない、という思い込みを壊すときと捉えてもいいのではないかしら。私はよく「家族全員で単身赴任したと思えばいいのよ!」と話します。

③ 新しい家への想いを馳せる

最小限の荷物で暮らしをデトックスしながら、単身赴任のようなある意味の気軽さで、自分たちが本当にしたい暮らしを見つめる期間。いいじゃありませんか。不便さも落ち着かなさも、この仮住まいの先には新居が待っているんですもの。想いを馳せながら、新しい暮らしをシミュレーションしながら、待つ時間を楽しみましょう。

<今月のコラム>

ここで、ちょっと近藤流
「仮住まいは"カラーボックス実験"のチャンス」

1990年代は、今ほどいろいろな収納用品や道具がなかったため、当時ホームセンターなどで売られていたカラーボックスをよく利用していました。
「空間」「時間」「人間」という、3つの「間」を考えるきっかけになったのがカラーボックスでした。クローゼット、食器棚、本棚、テレビ台、キッチンカウンターなど、これまでカラーボックスを使って数え切れないほどさまざまな収納家具を作ってきました。
この相談室でも繰り返し提案していますが、カラーボックスは本格的な家具を買う前に収納を実験したり、DIYの練習をしたりするのにもってこいのアイテムです。プラスして「色」のチャレンジ。仮住まいの期間を利用して、真っ赤な台所収納、真っ青な洗面所収納など、思い切った色使いのインテリアを試してみるのもおすすめです。"カラーボックス御殿"なんてどうですか!

写真:近藤典子 Home&Life研究所提供
資料:住まい方アドバイザー公式テキスト『住まい方ハンドブック1』近藤典子著(東京書籍)

最後に私自身の仮住まいについてお話ししましょう。都内のマンションから現在は仕事場のある新宿の古い一軒家で仮住まい中です。犬を2匹以上飼えるところ、という条件があるので他に物件が見つからず、間取りが旧くて使いにくいとかいろいろと不満はあるけどそこは近藤流の"仮住まいの極意"を駆使して(笑)。

ひとつの工夫は、リビングの横にある10畳ほどの和室をダイニングにしたことです。和室のダイニングって面白いでしょ? 「神楽坂の料理屋さんみたいじゃない?」なんて言いながら、いつもの食事より盛り上がったりして。下には食べこぼしてもいいように撥水加工の絨毯を敷いています。もちろんカラーボックスも大活躍。古い建物なのに釘一本ダメなので、知恵を働かせながら、仮住まいだからこそできる暮らしを見つけています。

Yachi88さん、新居での暮らしをぜひ楽しんでくださいね!

住まいの「悩み」は、快適な住まいへの糸口です。
一緒に解決のトビラを開きましょう!

近藤典子 Noriko kondo
(住まい方アドバイザー)

30年に及ぶ収納実績による商品開発・オリジナル収納ユニット・間取り提案が好評。 著書は、累計部数400万部以上、海外でも翻訳多数。 2016年より南京工業大学浦江学院 客員教授。 資格取得できる「住まい方アドバイザー養成講座」を東京・大阪にて開講。第3期(2017年6月開講)受講生申込受付中。お問い合わせは、近藤典子の暮らしアカデミー事務局(http://www.kurashi-academy.jp TEL:03-3267-0537)まで。

●近藤典子Home&Life研究所 http://www.hli.jp/

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