すまい相談

近藤典子先生の「すまい相談室」

3月のご相談・ご質問

近藤典子先生がもと引っ越し屋さんだったというのを読みました。わが家はもうすぐ夫が定年退職するのを機に一戸建てを新築中なのですが、これまでは社宅から社宅へラクラクパックのような引越ししか経験がなく不安です。家族4人の念願の個室もできます。ストレスが少なくて、大変というより楽しかったねといえる引越しにしたいです。近藤先生のアドバイスをお願いします。

(ニックネーム:fukujusou)

"fukujusou"さん、ご相談ありがとうございます。
回答してくださるのは、住まい方アドバイザーの近藤典子さんです。
早速お願いします。

こんにちは、近藤典子です。

fukujusouさん、お待たせいたしました!

引っ越したけなわの季節ですね。読者の中にもこの春引っ越された方、これから引っ越しされる方がいらっしゃるかもしれません。引っ越し屋さんのラクラクパックを利用するのも決して悪くありませんが、今回のご相談者fukujusouさんのように「引っ越しを楽しむ」という考え方にも私は大賛成です。それに、引っ越しは"暮らしを見直す一つのチャンス"ととらえることもできるんです。そこで今日は、楽しい引っ越しにするためのアイデアをいくつかお話ししましょう。

贅肉を落として、健康的に新しい家へ

fukujusouさんは転勤族だったということですので、これまでは転居先の間取りが分からないこともあったでしょうけど、今回は新築ですから分かっていますね。まずは、間取り図を描いてください。大雑把でいいですよ。そして部屋ごとに番号をつけます。太いマジックでくっきり、はっきり、分かりやすく。

この間取り図を引っ越し当日に引っ越し屋さんに渡し、玄関には拡大コピーを目立つように貼っておきます。

間取り図があると引っ越し当日がスムーズなだけでなく、実は面白い効果があります。ダンボールに荷物を詰めるときにこの間取り図を見ながらすると、新居のどこへ置くかが具体的に想像できるので、「ああ、やっぱり要らないわ」とか、「もう十分に使ったから、思い出とさよならしよう」とか、いわば最後の贅肉落としができるんです。「いつか・もしかしたら・たぶん」使うかも‥‥という未練を案外すんなり断ち切れるようです。

fukujusouさんが、今の家にどれだけ長くお住みになったか、どんな思い出がおありになったかはご質問の文章からは分かりませんが、建築中から余裕を持って思い出にさよならしたり、あるいは思い出をダンボールに詰めたりする作業はすごく楽しいものだと思います。

そうして贅肉落としをして、健康的に新しい家へ行きましょう。荷物をそうやって詰めたということは、転居先でも自信になります。いろいろ考えて要らないものを処分したのですから。

引っ越し当日のストレスを減らすアイデア

どんなに楽しく荷造りしても、当日に嫌な思いをしたりストレスを感じると台無しです。まずは引っ越し屋さんとのコミュニケーション。先ほどの間取り図に従って、ダンボールにも番号を大きく書いておきますが、文字が小さかったり、番号以外の中身がごちゃごちゃと書いてあったりすると、引っ越し屋さんは必ず「お客さ〜ん、これ、どこへ置きますか?」と聞いてきます。引っ越し屋さんに振り回されないためにも、中身など自分たちだけに分かればいい情報はフタと側面の2か所に、部屋の番号は太いマジックでフタと大小の側面の計3か所に大きく書いておきましょう。

引っ越し屋さんも、迷うことがなければ丁寧に仕事をしてくれますから、間取り図作戦はぜひやってみてください。

次にダンボールの置き場所。邪魔にならないように、空間を広くするようにと部屋の隅っこに積んでしまうと、重なったダンボールの後ろに何があるのか分からなくなってしまいます。これもストレス。部屋の真ん中とまではいいませんが、人がぐるりと通れる幅を開けて2列に詰むといいでしょう。フタか側面のどちらかが見える所に積んでおくと探すのも楽。壁にくっつけるとダンボールが壁を傷つけてしまうこともあります。

収納スペースにダンボールを収めるのもNG。よほど大きな納戸があれば別ですが、いったん収納スペースにしまい込んでしまうと、またダンボールを出してからの片づけになるので、ついつい後回しになってしまいがち。部屋が少し狭くなっても、寝る場所さえ確保しておけばいいので、中にしまい込まず収納スペースのそばに山を築いておきましょう。どんどんダンボールを片づけて山が減っていく感じがもう快感! 達成感も楽しいものです。

またたとえ新築であっても、引っ越しってものすごくホコリが出ますから、収納スペースの掃除をする上でもダンボールは外に積みましょう。

荷物を運び込む前に、ご近所への挨拶も

引っ越し先ですぐに使うもの用に、近頃は色つきのダンボールを準備する引っ越し屋さんもありますが、ない場合は色紙を貼っておきます(ちなみに私は昔から緑の色紙!)。すぐ使うものは人それぞれですが、掃除道具・トイレットペーパー・ゴミ袋・懐中電灯・家族分のスリッパ・ドライバーセットなど。リモコン類もここに入れておきましょう。ご近所への挨拶が済んでいない場合は、挨拶回り用の粗品やメッセージカードも忘れずに。

ご近所への挨拶は、できれば前日までに済ませておきたいものですが、難しい場合はできるだけ引っ越しの荷物が到着する前に。家族がいれば、送り出し隊と出発隊に分かれて、出発隊の方は早めに出発するのがいいと思います。

では、どこにご挨拶するか。マンションの場合はまず管理人さんと階下です。引っ越しの騒音が響きますから荷物を運び込む前に。同じフロアのエレベーター前にお部屋があればそちらにも挨拶しておきたいです。当日でなくてもよいので自治会長さんにもご挨拶しておきましょう。「この辺りに出前してもらえるところはありませんか?」などと聞けば、きっと喜んで教えてくれると思いますよ。

一戸建ての場合は、お向かいと両隣、そして忘れがちですが裏のお宅にも。洗濯物が飛んでいったり、何で迷惑をかけるかもしれませんから。

最近は挨拶に行っても不在の場合が多いので、私は封筒の中に図書カードとメッセージカードを入れてポストに入れておきます。ご近所と親しくなるつもりはなくても、いい距離感を保つために、とりあえずはご挨拶が大切かなと私は思います。

ここで、ちょっと近藤流
「引っ越し用"宿泊バッグ"のススメ」

引っ越しって、自覚がなくても心身ともにものすごく疲れるものです。そこで2泊3日の旅行気分で、と決めて、食事は出前や外食を利用し、新しく住む街の物見遊山を楽しむなんていうのもいいのでは?

「宿泊バッグ」を用意すると気分が盛り上がりますよ。旅行バッグやリュックに洗面道具・下着・化粧品などを詰めます。家族それぞれがマイ宿泊バッグを手に持つのも楽しいもの。引っ越し当日だけでなく、2泊3日分くらいを用意するのが近藤流です。これさえあれば、部屋が片づいてなくても眠れますね。

fukujusouさんへ最後にもう一つアドバイスします。社宅がマンション式でワンフロア、新築の家が2階建てでしたら、いくら家具やダンボールの配置を事前に決めていても、いざ引っ越してみると2階に運んだ家具を下で使いたい、ということが起こってくるかもしれません。それを家族でやるのは大変。そんな時に引っ越し屋さんによっては、「何日以内に1回だけなら無料」というように、運び直してくれるサービスもあります。そういうサービスも聞いておいて利用するといいと思います。

4人家族ということですから、キッチンはママ、洗面所はパパ、玄関は子どもたち、リビングは日曜日に全員で、という風にゆるやかな分担とスケジュールを作っておくのも、引っ越しを楽しむちょっとした秘訣です。引っ越し後にお悩みが生じたら、また是非ここへどうぞ!

住まいの「悩み」は、快適な住まいへの糸口です。
一緒に解決のトビラを開きましょう!

近藤典子 Noriko kondo
(住まい方アドバイザー)

30年に及ぶ収納実績による商品開発・オリジナル収納ユニット・間取り提案が好評。 著書は、累計部数400万部以上、海外でも翻訳多数。 2016年より南京工業大学浦江学院 客員教授。 資格取得できる「住まい方アドバイザー養成講座」を東京・大阪にて開講。第3期(2017年6月開講)受講生申込受付中。お問い合わせは、近藤典子の暮らしアカデミー事務局(http://www.kurashi-academy.jp TEL:03-3267-0537)まで。

●近藤典子Home&Life研究所 http://www.hli.jp/

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