すまい相談

近藤典子先生の「すまい相談室」

1月のご相談・ご質問

夫婦、娘2人、息子1人の5人家族でマンションに住んでいます。玄関のうまい使い方を教えていただけますか。夫と息子の靴が大きくて場所をとり、冬場になると娘たちや私のブーツも出てきて、狭い玄関がたいへんなことになります。使い勝手のよい玄関の工夫を教えてください。

(ニックネーム:甲子園好きのいしいし)

"甲子園好きのいしいし"さん、ご相談ありがとうございます。
回答してくださるのは、住まい方アドバイザーの近藤典子さんです。
早速お願いします。

こんにちは、近藤典子です。

甲子園好きさんなので、場所をとるスニーカーもたくさんありそうですね。靴以外の応援グッズなども玄関にあふれているのかも!? さて、具体的な解決法の前に、「玄関」とはどういう場所なのか、なぜ片づかないのかを冷静に考えてみましょう。(こうして理屈から考えるのが近藤流!)

よく「玄関は家の顔」とか「玄関を見ると、その家がどんな家かわかる」とか言いますよね。確かにそれはそうなんだけど、めったに来ないひとのために玄関をしつらえて、家族が動き辛くなるようなことっていいの? 本当にその玄関は安全なの? そういう"家族目線"でもう一度、玄関はどういう場所なのかを考えてみます。

玄関の役目は、物理的には人の出入り口。窓から出入りするっていう人は、まずいないでしょ? 心理的には、出かけるときには「行ってきます! がんばるぞ!」と自然と気持ちが「オン」に、帰宅したときには「オフ」に切り替わる場所でなくてはなりません。

それなのに、「あぁ、あれ忘れた」「あぁ、下駄箱から出し辛い」となると、気持ちよく出かけるどころか逆にストレスになってしまいます。

それでは、なぜ玄関が片づかないのか。理由は2つあります。

1つめは、所有する靴の数が増えたこと

ファッションの多様化によって、女性だけでなく男性や子どもも靴の数が増えました。「ミニマリズム」がかっこいいということで、家の中にモノを持たない人が増えているのに面白いですね。ここ5、6年、顕著です。ミニマリズムの反動でしょうか、男性がマフラーを巻き始めたことと関係あるのでしょうか……。

2つめは、玄関で使うモノ以外のモノが集まりやすいこと

家族5人いれば、それぞれ玄関に置いておきたいモノが違いますよね。帽子やハンカチ、鍵など忘れ物しがちなモノ、スポーツ用品、ゴルフバッグ、お年寄りがいれば杖や椅子付きキャリーカーなど家の外に持ち出すモノなどなど。モノが集まりやすい割には収納スペースが少ないため、片づかない原因になっています。

さて"甲子園好きのいしいし"さん、お待たせしました! ご相談の「夫と息子の靴が大きくて場所をとる」と「娘2人と私のブーツでたいへんなことに…」の具体的解決法です。

1人1人の靴を減らす方法
手順1

下駄箱の中の靴のほか、玄関以外の場所(個室、クローゼット、ベランダなど)に収められている靴を1か所に集める

手順2

人別に分ける

手順3

各自が用途別に分けて、不要な靴を処分する。処分の目安は
① 古い(流行遅れ、変色している)
② 破損している(修理が難しそう、修理代が高そう)
③ 履くと痛い、疲れる
④ 履く機会がなくなった(仕事や環境が変わった、など)
⑤ 興味が薄れた(コーディネートする服がない、など)

①③④⑤は迷わず処分。②の場合は、修理代を払ってでも履きたいかどうかで判断します。靴の修理代って、思いのほか高いですからね。

靴の向きで下駄箱の収納量アップ

さて次は、いかに下駄箱の収納量を多くするか工夫します。下の2つの図を比べてください。下駄箱の空間を使い切っているのはどちら? そうですね、収納量を重視するなら、男性用は「かかと」を手前、女性用は「つま先」を手前にします(ただし、女性用でもローファーやスニーカーなどは「かかと」を手前にします)。下駄箱の高さを3㎝ずつ詰めれば1段分、6〜7足分は増やせますよ。

出典:
「近藤典子の暮らしアカデミー」資料

無駄なスペースができる

スペースを有効に使える

ロングブーツの収納

出典:「近藤典子の暮らしアカデミー」資料

冬場のブーツだけはたたきに置きっぱなしでいいと思います。おしゃれなブーツキーパーやピンチも売っていますから。

ただし、何足もは置きっぱなしにできませんから、ロングブーツの指定席を作っておきます。トールタイプの下駄箱の場合は、下から1800mm前後の高さに棚をつけて、写真のようにワイヤーネットを使って仕切りをつけておけば、倒れることもありません。ブックエンドならぬ「ブーツエンド」。簡単にできますから、ぜひ手づくりを。

ロータイプの下駄箱で、普段使いの靴だけでほぼいっぱいになるという場合は、夏物と冬物の「靴の更衣(ころもがえ)」をして、居室の一部などに移動させます。

下駄箱以外の収納スペースを作るアイデアもいろいろありますが、これはまたの機会に。まずは、限られたスペースで工夫してみてください。

ここで、ちょっと近藤流「家族の玄関ルール5か条」

玄関はリビングと並んで、家族みんなの公共の場です。玄関が散らかっていると、「この家は散らかしていい家」になる。玄関をいつもスッキリした状態に保ためには、神経質になる必要はないけれど、家族間でのルールをはっきりさせておくことがポイントです。

Column
1

履くとき、戻す

靴を下駄箱から出すとき、前日履いていた靴を下駄箱に戻すようにします。(湿気を飛ばすために、帰宅してすぐに下駄箱へしまわないように)

2

ゴミは持ち込まない

玄関におしゃれなゴミ箱を置いておき、ポケットのゴミやポストのチラシなどはそこで処分。

3

下駄箱の上に置かない

いったん誰かが何かを置くと、あっという間にモノがあふれてしまいます。下駄箱の上にモノを置かない、を原則に。

4

たたきの靴はそろえて

帰宅した家族の靴がきちんと並んでいると気持ちがいいですね。ホールやたたきに荷物を置きっぱなしにしないのは言うまでもありません。

5

次に帰る人のために

玄関マットがあれば、整えましょう。その役目なら、小学校低学年のお子さんでもできますね。「○○ちゃん、寝る前にマットをきれいにしようね。パパが帰ってきたときに気持ちいいようにしてあげてね、これだけは約束事よ」と。

「一聞くと百答える近藤典子さん」とウワサされているとか(笑)。今回も長い回答になってしまいましたが、「玄関」の片づけについては、まだまだ語り尽くせません。私が以前片づけをしたお宅で、お父さんだけで108足の靴を持っていたケースがありました。穴のあいた靴まで全部持ってる(笑)。この方の場合は上に書いた方法で整理、処分できましたが、たとえば社交ダンスが趣味という女性に、その高価で二度と手に入らないような靴を処分して、とは言えませんよね。靴や鞄は、衣服以上にその人の趣味や大げさに言えばアイデンティティを表現するものなんでしょうね。

みなさんもぜひ、「玄関」という狭いけれど奥深い場所を、心地よくする工夫をしてみてください。

住まいの「悩み」は、快適な住まいへの糸口です。
一緒に解決のトビラを開きましょう!

近藤典子 Noriko kondo
(住まい方アドバイザー)

30年に及ぶ収納実績による商品開発・オリジナル収納ユニット・間取り提案が好評。 著書は、累計部数400万部以上、海外でも翻訳多数。 2016年より南京工業大学浦江学院 客員教授。 資格取得できる「住まい方アドバイザー養成講座」を東京・大阪にて開講。第3期(2017年6月開講)受講生申込受付中。お問い合わせは、近藤典子の暮らしアカデミー事務局(http://www.kurashi-academy.jp TEL:03-3267-0537)まで。

●近藤典子Home&Life研究所 http://www.hli.jp/

ようこそ、マリモリビングオープンキャンパスへ学長メッセージ 開校のごあいさつ

マリモWEB大学の新着情報をtwitterで受け取る
marimo_living