すまい相談

近藤典子先生の「すまい相談室」

10月のご相談・ご質問

妻の洋服のことで困っています。むかし観た映画で、入院中の妻が夫に「クローゼットの中の、これこれのドレスを持ってきて」とお願いをするシーンがありました。自宅に帰った夫がクローゼットを開けるとそこには数着のドレスが整然と…。片や私の妻の洋服の量は半端ではなく、しかも整理が苦手。万が一私にそのようなシーンが訪れたら、とても妻の望む一着を見つけられそうもありません。どうしたらいいでしょう。

(ニックネーム:洋服好きの妻をもつ夫)

洋服好きの妻をもつ夫さん、ご相談ありがとうございます。
回答してくださるのは、住まい方アドバイザーの近藤典子さんです。
早速お願いします。

こんにちは、近藤典子です。

今回は入院中の奥様に洋服探しを頼まれたらどうしよう……と悩んでいる男性からのご相談ですが、こうしたお悩みは男性にも女性にもあることだと思います。急に出先から「寒いからジャケットを持ってきて」とか、会社の人に不幸があったから「喪服を持ってきて」とか。あるいは夫婦のどちらかが突然入院することになって、パジャマや下着一式を持っていかなければいけない、というケースだってでてくるでしょう。そう考えると、衣類の片づけ・収納の大切さがわかりますね。

"洋服好きの妻をもつ夫"さん、奥様だけではありませんよ。私が2000軒以上の暮らしの悩みを聞き解決してきたなかで、30年間変わらず片づかないもののナンバー・ワンが「洋服」なんです。洋服はクローゼットの中だけではなく、タンスや押入の中、家具と家具の間の隙間に入れた引き出しケースの中、と家の中に分散していることが多いのです。ですから、クローゼットの中から持ってきて、と頼まれても、実際には違う場所にあるかもしれません。確かに困りますよね。

おまけに、ほとんどのご家庭では奥様の方が洋服の量が多くて、私のセミナーに参加される女性たちも開口一番、「洋服の片づけを始めてみて、自分の洋服がどれだけ多いか思い知った……主人に申し訳ない」と、9割以上の人がそうおっしゃいます。

では、どうすればいいか。クローゼットの上手な使い方については、別の機会に詳しく説明することにして、今回はご相談の解決法として「洋服の見える化」についてお話しします。

奥様はきっと、これこれこういう洋服をもってきて———例えば花柄のワンピース、とか、ピンク色のブラウスとか———と洋服のデザインは指定できるけれど、場所の指定がご主人にわかるように細かく説明できないのだろうと思います。ですからまずは、クローゼットの中を見やすくしましょう。でも、見やすいって何? いろいろ方法はありますが、私はできるだけ洋服を「掛ける(吊るす)」ことをおすすめします。洋服の収納には、「たたむ」と「掛ける」とありますが、どちらが皆さん探しやすいですか? もちろん掛ける、ですよね。たたむと見える面積が小さくなりますし、引き出しにしまい込むと余計に見えにくくなります。それに、本来洋服は人が身につけるものなので、ハンガーに掛けることは、理にかなっているのです。ハンガーに掛けると形崩れしやすい、例えばセーター類は例外ですが、裏地の付いたもの、またTシャツやトレーナーなど軽いものはハンガーに掛けても大丈夫。たたまなければならない洋服は、案外少ないと思いますよ。

とはいっても……掛けるスペースには限りがある! 掛けるスペースを増やす前に、まずは洋服の整理をします。「いる」「いらない」の選別ですね。家中の洋服をすべて1か所に出して、下のコラムを参考に、さぁ始めましょう。(このとき、冠婚葬祭用、リフォーム・バザー予定、マタニティなど長期保管、想い出の服は別にします)

ここで、ちょっと近藤流「洋服の"人別整理"の手順」
Column
1

人別に分ける(行き場の目安)

2

アイテム別に分ける(内容と量の目安)

→ 同じアイテムを見比べることで、要・不要が判断しやすくなる
スーツ スカート パンツ ほか

3

シーズン別に分ける(収納位置の目安)

→ それぞれのシーズンで本当に必要なのか、シーズンを背景に判断してみる
あい物(オールシーズン)

4

使用目的(シーン)別に分ける(要・不要を見極める最終の目安)

→ このステップで重要なのは、仕事で着る洋服、特別な日の洋服など、それが本当に着る機会があるのかどうかチェックし、「着られる」ではなく「着る」「着たい」洋服だけにすること
普段着 よそいき着 仕事着

5

不要な洋服の処分方法

→ 売る・譲る・処分する

要らないものが出る日がわかったら、もらってもらう人に来てもらいます。いつか誰かに、というのはダメ。誰も貰い手がなければ、初めて処分します。でもね、ここで考えたいのが「衣類の年金」ということ。高齢になって、経済的に新しい洋服が買えない時代がやってこないとも限りません。いまは流行ではないけれど、品質のよいもの、いつか着たいものは、年金としてとっておいてもいいんじゃないかしら。

冒頭でお話しした喪服について、これは私自身とても助かっている方法ですが、クローゼットの奥のスペースに、突っ張り棒を渡すか(イラスト左)フックをつけるか(イラスト右)して冠婚葬祭の指定席にするのです。

喪服用の小物も一緒にそばにかけておけば、いざというとき、このまま持っていけます。普段はクローゼットの奥に隠れて見えないけれど、意識のうえでの「見える化」です。

最後にもう1つ、ハンガーにストローを使った「見える化」のアイデアを。イラストのように、ハンガーの首の部分にカットしたストローをハンガーのフックの部分からスルッと差し込みます。目に止まりやすいように、できるだけ派手な色がいいですよ。例えば今回のご相談の奥様が、特別な洋服にこのストローを目印につけておいたとしたら、たとえカバーがかかっていてもご主人はすぐに見つけることができるでしょう。

"洋服好きの妻をもつ夫"さんは、きっとおしゃれで優しいご主人でしょう。整理の苦手な奥様と、結婚記念日やお誕生日に、ご一緒に洋服の整理をなさるのはいかがですか。ケンカになるかもしれませんが(笑)、それもいい想い出。暮らしの棚卸し、ですね。

私はよく、こう言うんです。「クローゼットを制するものは、家の中の片づけを制する」と。毎日着るものが整然とすると、靴やバッグやアクセサリーなども不要な物が判断でき、本当に必要な物だけになってきて、身につけるもの全体が整ってきます。イライラやストレスも軽減される。そうなると家の半分は片づいたようなもの。洋服の片づけはそれほど効果があります。どうですか? がぜん、やる気になってくるでしょ?

さぁ、住まいや、住むことについての具体的なご相談、大歓迎です。あなたのキッチンは本当に「使えて」いますか? 子ども部屋の収納に納得できています?

住まいの「悩み」は、快適な住まいへの糸口です。
一緒に解決のトビラを開きましょう!

近藤典子 Noriko kondo
(住まい方アドバイザー)

30年に及ぶ収納実績による商品開発・オリジナル収納ユニット・間取り提案が好評。 著書は、累計部数400万部以上、海外でも翻訳多数。 2016年より南京工業大学浦江学院 客員教授。 資格取得できる「住まい方アドバイザー養成講座」を東京・大阪にて開講。第3期(2017年6月開講)受講生申込受付中。お問い合わせは、近藤典子の暮らしアカデミー事務局(http://www.kurashi-academy.jp TEL:03-3267-0537)まで。

●近藤典子Home&Life研究所 http://www.hli.jp/

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