すまい相談

近藤典子先生の「すまい相談室」

9月のご相談・ご質問

今森さんのお話とても良かったです。私は引越しが多いので、なかなか地域とつながりができず、自分の家の中でも仮住まいみたいな感じが抜けません。家具を選ぶ時も、本当に好きなものより「運びやすいもの」を選んでしまいます。引っ越しが多くても快適に暮らすコツとかあったら教えてほしいです。

(ニックネーム:月のたまご)

月のたまごさん、ご相談ありがとうございます。
回答してくださるのは、住まい方アドバイザーの近藤典子さんです。
早速お願いします。

こんにちは、近藤典子です。今月のご相談のお答えの前に、ひと言ご挨拶させてくださいね。このマリモWeb大学の学長さんのメッセージを、みなさんもお読みになりましたか? 私はすごく共感しました。その中に「住まいと記憶」という言葉がでてきますが、私が住宅を設計する中でいつも考えるのは、想い出とどうつき合うかということです。想い出というのは「想いを取り出す」と書くでしょ? ですから、取り出せるシステムを作ることが大事なんです。

といった、具体的な技術や理屈も織り込みながら、ご質問・ご相談に、あくまで近藤流でお答えしていきたいと思います。では、今月のご相談にまいりましょう!

月のたまごさんは3つのモヤモヤを抱えていらっしゃいますね。1つめは、「引っ越しが多いのでなかなか地域とつながれない」。そして、「仮住まいみたいな感じが抜けません」、これが2つめ。「本当に好きなモノより、運びやすいモノを選んでしまいます」、これが3つめ。

3つの要素「引っ越しが多い」「仮住まい」「家具選び」を、ご相談者はすべてマイナスの要素としてとらえ、これはどうしたらいいのか、というお問い合わせです。

すべては物事の捉え方、見方ではないかと私は思います。例えば、家の中に柱がある。出っ張っていて、へこみもあって、大変に使い辛い、と。私は、まったくそうは思わない。よくぞ、出っ張ってくれた。よくぞ、へっこんでくれた。そう思えばいいんじゃないですか? 出っ張っているということはへっこみがあるということ。へっこみは収納にもってこいの場所だ! と。

移動は確かにたいへん。でもね、身軽にしておいて、そこの地域を長期の観光みたいな気持ちで楽しむ。10個そこの地域で楽しむと決めて、博物館に行くとか、路地裏の豆腐屋や下駄屋みたいなその土地ならではのお店を見つけるとか。

お悩みの「地域の人とつながれない」ということについては、図書館をおすすめします。図書館で地域のいろいろな活動をしている人の輪に、「私、短い期間ですけれど…とか、転勤族でいつまた転勤になるかわからないですけれど…」と前置きの言葉を添えて仲間に入れてもらう。そうすると不思議なことに、相手も垣根が低くなるんですね。すっと入っていける。移動をどう受け止めるか、ですよね。各地に自分の出張所ができると考えると楽しいじゃないですか。

2つめは仮住まいのお悩み。仮住まい、大賛成ですよ! 仮住まいは、自分の最後の本ちゃんの練習場所です。例えば最終的に、一戸建てを建てたい、あるいはマンションを買いたい、マリモさんでね(笑)。仮住まいの中で、いろいろな家のタイプを練習できるじゃないですか。毎回、予算を決めて、その分を練習のための家具やインテリアに充てるのもいいでしょう。だから、月のたまごさん! 仮住まいをネガティブにとらえなくていいんですよ。

最後のお悩み、「好きな家具」を選べない。好きな家具、というのは、月のたまごさんの中でどんな家具でしょう。

もちろん、高価な家具は素材もデザインもいいものが多いですが、しかし、家具を選ぶときに、デザイン的にはちょっと…と思ったとしても、多少質がよくて名の知れたメーカーのものを選ぶという人が案外多いと思うんです。でもね、私は反対!

中途半端な価格帯やデザインで妥協してしまうより、安くても、名の知れないメーカーのものでも、自分がデザインが好き、というものを選びたい。名前や実をとるより、自分の心をとりたい。デザインは暮らしを豊かにしてくれるもの、と私は思うからです。

ここで、ちょっと近藤流「インテリア用品を買うときの心構え5か条」
Column
1

決め手となる資料を持っていく

記憶だけでイメージ通りのものを見つけるのは難しいもの。
家具やラグ選びをするときなどには、部屋の印象の決め手となるカーテンのタッセルや、
アクセント的なクッションカバーなどを持参すると、色選びしやすいですよ。

2

予算の範囲を決めていく

3

最低2か所の店を回る

1軒目は高価格な店、2軒目は比較的低価格な店に行くようにします。この順番が逆になると、
高価格な店にある物の方がよく見えてしまい、予算をオーバーしてしまったり、低価格なものを買うことがとてもさみしく思えてしまうことがあるからです。

4

ショップに入ったら目的の物のところにまず行く

5

あと一歩で迷ったときは店から出る

「今日限り」「残り数点」などの言葉に惑わされそうになったときこそ、冷静さが必要です。

月のたまごさんは、ちょっとネガティブだけど、こうして相談してこられたのはインテリアをあきらめない方だと思います。そう、「あきらめない」ということが、インテリアには一番大事なこと。書店へ行って、インテリア雑誌を眺めて「こんな風になりたい〜、でもねぇ〜、どうせ家なんか〜」とため息をついている人。その時点であなたは好きなインテリアの中で暮らす権利を放棄していることになる。どんな場所に住んでいても、あきらめちゃダメです。インテリアで何よりも大切なのは「楽しむ」という熱い思いです。この思いこそが、インテリア上手になる一番の近道なんですよ。

さぁ、住まいや、住むことについての具体的なご相談、大歓迎です。あなたのキッチンは使い心地がいいですか? 衣類は片づいていますか?

住まいの「悩み」は、快適な住まいへの糸口です。
一緒に解決のトビラを開きましょう!

近藤典子 Noriko kondo
(住まい方アドバイザー)

30年に及ぶ収納実績による商品開発・オリジナル収納ユニット・間取り提案が好評。 著書は、累計部数400万部以上、海外でも翻訳多数。 2016年より南京工業大学浦江学院 客員教授。 資格取得できる「住まい方アドバイザー養成講座」を東京・大阪にて開講。第3期(2017年6月開講)受講生申込受付中。お問い合わせは、近藤典子の暮らしアカデミー事務局(http://www.kurashi-academy.jp TEL:03-3267-0537)まで。

●近藤典子Home&Life研究所 http://www.hli.jp/

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