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「住めば都」ゼミナール

元気なまち物語 ⑥ 兵庫県・豊岡市

海と山とまちの資源をあわせもつ
兵庫県北部の中核都市「豊岡」発が
いま、おもしろい。

2017年1月5日更新

兵庫県最大の面積をもつ豊岡市
平成17年に県北東部の1市5町が合併してできました。
それぞれのまちが持つ特徴ある地域資源に注目して、
豊岡の魅力を再構築しようという取り組みが熱を帯びています。

豊岡市は人口8万人強の地方都市。「コウノトリ悠然と舞う ふるさと」を合言葉に、人口減少下であっても地方活力を維持するための前向きな取り組みが行われていることで知られる。

豊岡ブランドづくりで地域力をあげる。

今回訪ねる元気なまちは兵庫県北東部にある豊岡市。でも、「豊岡」と聞いてもピンと来ない方がきっと多いはず。ところが、「コウノトリ」「城崎温泉」「松葉がに」「豊岡鞄」「但馬牛」と聞けば、「ああ、それ知ってる!」ではありませんか?

実はこれらはすべて豊岡の名物。海、山、まちのすべてを有する豊岡は、さまざまな名物にあふれたスグレモノの地方都市なのです。

ということは、豊岡は「実力の割に知名度が低い」ということでもあります。そこで近年、その残念な状態を解消しようと、さまざまな取り組みがなされています。

その取り組みのひとつが「地域ブランドづくり」です。つまり豊岡のもつ地力に裏付けられた商品をブランドとして打ち出す方法で、「豊岡鞄」、「コウノトリの舞(農産物)」などがそれに当たります。まずはこの2つのケースをご紹介しましょう。

コウノトリとも共生できる環境保全型農法が実践され、取れた米は通称コウノトリ米と呼ばれるブランド米となっている。

国産鞄の約7割を生産する豊岡。兵庫県鞄工業組合が定めた基準を満たす在豊岡メーカーとその製品に「豊岡鞄」の認定を与え、保証書を発行してブランド化を推進している。

日本海のブランド品、松葉がに。「城崎温泉に入りかにを食べ、帰りに、またかにを買って帰る」。これが関西人の冬の贅沢。

自社ブランド&ショップへの挑戦。

国産鞄の7割を生産する豊岡。その多くは大手鞄メーカーからの注文を受けて作る、いわゆるOEM生産ですが、昨今、産地のブランド力をあげるためにいろいろな取り組みが行われています。

商店街とタイアップしてつくった「カバンストリート」にメーカーのアンテナショップを集積して、そのデザイン力や品質をまちを訪れる人に直接アピールしながら販売したり、2014年にはその「カバンストリート」の一画に鞄の専門学校を開校して鞄生産に関わる人材を継続的に育成したりしているのです。

中心市街地にメーカーのアンテナショップを集積させた「カバンストリート」がある。その街角で見つけたカバンの自販機。

1年制の鞄づくりの専門学校が入る「トヨオカカバン アルチザンアベニュー」。全国から生徒が集まり、卒業生の多くが豊岡の鞄メーカーに就職する。地元にとってはありがたく心強い存在。

「アトリエヌウ」もそんな事例のひとつです。

「アトリエヌウ」は、8年前に、あるOEMメーカーが、消費者に接する店としてつくったパターンオーダーの工房型ショップでした。

それが昨年9月、OEMメーカーとしての経験を生かしたオリジナル商品を販売する店にリニューアルし、本格的な小売店に生まれ変わりました。

このチャレンジングな店の運営メンバーのひとり石田麻衣さんは、4年前に大阪からUターンしてヌウに入社。現在はリニューアル後のヌウで、商品開発チームの一員として女性バッグの商品開発から店舗運営まで幅広い業務に携わっています。

※パターンオーダー/好きな色や形のパーツを選び、それを組み合わせて商品を作りあげる方法。

リニューアル時に店舗を広げ、商品数も増やした。広々とした店内に置かれた多彩なバッグを見ていると、あっという間に時間が経つ。

「アトリエヌウ」はメーカーの直売ショップとして、高品質かつここにしかないバッグを作り、販売している。

スタッフの石田麻衣さん。Uターン後に就職活動をして入社したが、「いい会社と楽しい仕事に恵まれてラッキーでした」という。

最初は豊岡のショップにお客様が集まるのかと不安だったそうですが、蓋を開けてみると「城崎方面へ観光に行く途中のお客様がたくさん立ち寄ってくださって予想外の賑わい」なのだそう。製造直売なのでコストパフォーマンスが良いことと、お客様の声を反映した商品をスピーディーに作って販売できることもあって、「お客様がお客様を紹介してくださる」という幸せな現象も起こっています。

「大阪時代にはアパレル販売をしていて、人が作ったものを販売だけしていたのですが、ここでは自分で作ったものを自分で販売します。すると語りの濃さと熱さが、我ながらもう全然違うんですよね」と言う石田さん。「すべてを自分たちでやって結果も出さないといけないので大変ですがやりがいも感じていて、豊岡に戻ってこの職場に巡りあえて良かったなと思っています」。その笑顔に、豊岡の鞄産業に吹く新しい風を感じます。

店の奥から鞄を縫うミシンの音が響いてくる。熟練の職人さんの仕事ぶりを見ながら買い物が楽しめるのもこの店の魅力。

店のリニューアル記念に、石田さんたちがデザイン開発したダレス型のレディスバッグ。売れ行き好調!

アトリエヌウ

豊岡市中央町7-28 TEL 0796-22-7732 10:00~18:00/水曜休
http://www.a-nuu.net/(インターネット販売あり)

「コウノトリ育む農法」が育んだ、地域ブランド石鹸。

人里でのコウノトリの野生復帰に取り組んでいる豊岡では、コウノトリと共生するために農薬や肥料に頼らない特殊な環境保全型農法を開発しました。それが「コウノトリ育む農法」です。

この農法でつくった赤米で、肌の弱い人や赤ちゃんも安心して使える石鹸を開発したのが、山間の地域「但東」に住む野世英子さんです。

農家に嫁いだ野世さんは、8年前、長男の妊娠中にひどい痒みを伴う乾燥肌になったことがきっかけで、「洗うことで肌を潤してくれる、さらに全身をこれひとつで洗える石鹸を作ろう」と思い立ちました。

赤米石鹸の開発者で事業主の野世英子さん。この石鹸のおかげで、肌年齢は15歳マイナスなのだそう。

独学と実験を繰り返して作った赤米の石鹸「come savon」。
さっぱりタイプ(左)としっとりタイプがある。

本やインターネットでの独学と、自宅での実験を繰り返すこと1年半。赤米の糠と数種類の自然油を配合して、ようやく納得できる石鹸を完成させました。

石鹸に使う赤米は、原料の安全性を確かなものにするために野世さんが家の田んぼで自作することに。その時に用いたのが、自然環境への配慮と安全安心な米づくりが両立する「コウノトリ育む農法」でした。「この農法を実践することで、私にも農薬を使わずに赤米が作れたんです」と野世さんは言います。

最初は自分と家族のためだけに作った赤米石鹸でしたが、やがてお裾分けした人たちの間で評判になり、商品化を望む声が高まりました。そこで「come savon(コメサボン)」という名前を付けて、思い入れのあるコウノトリをデザインしたパッケージに詰めて販売するようになりました。今では口コミでファンが広がり、旅館やお土産物屋さんから継続的に注文が来る人気の地域ブランドに成長しています。

野世さんの赤米栽培を支える「コウノトリ育む農法」。中干し延期など7つのポイントがこのパンフレットにまとめられている。

赤米自体も商品化している。2合の赤米をコウノトリのついたかわいいパッケージに入れたギフト商品は、結婚式の引き出物などに人気。

MOKO

TEL 0120-952-992
http://moko-sekken.com/(電話注文およびインターネット販売あり)

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