ゼミナール

「住めば都」ゼミナール

元気なまち物語 ③ 兵庫県・淡路島

「淡路はたらくカタチ研究島」を展開

仕事をつくり、島と生きる人を増やす。

2016年1月29日更新

その地域の資源や魅力を「仕事」というかたちにし、
雇用を生み出すプロジェクトが、淡路島で展開されています。
さていったいどんな人が参加して、どんな仕事が生まれたのでしょうか。
聞きたいことや見たいことをいっぱい抱えて、淡路島を訪れてみました。

島と生きる。しごとをつくる。

上の写真をご覧ください。海岸にディスプレイされた1枚のパンフレット。風にも煽られてちょっと読みにくいかもしれませんが、実は右端に素敵なキャッチフレーズが書いてあります。「島と生きる。しごとをつくる。」そう、これが今回ご紹介する元気なまち物語のコンセプトです。そしてこれは「仕事がないから若者が出て行ってしまい、人口減少と高齢化が進む」という典型的な地方問題を「仕方がない」とあきらめずに、「だったら仕事をつくればいいんじゃない?」と考えた島の人たちのスローガンでもあります。

さて、そう考えた人たちがまずしたことは何だったでしょうか? それは島に潜在する「仕事の種」を見つけることでした。山海の産物に恵まれた淡路島は、古代から平安時代まで朝廷に食物を貢ぐ「御食国(みけつくに)」のポジションにありました。元来そうした豊かな島だったわけですから、ちょっと目を凝らせば食はもちろん他にもたくさんの「資源」があちこちにあったのです。それに気付いた島の人たちは「よし、これらの資源を使って仕事をつくろう!」と考えました(この考えを持った最初の女性が次ページに登場します!)。

しかしそのためには、「仕事をつくる仕組み」をつくる必要があります。仕組みをつくるための支援も必要です。そこで着目したのが、厚生労働省の委託事業である「地域雇用創造推進事業」(のちに実践型地域雇用創造事業に変更)の活用でした。
ちなみにこの難しい名前の委託事業は、淡路島では「淡路はたらくカタチ研究島」(以後、「はたらくカタチ」)という楽しい名前を付けてもらうことになりました。

海と山の両方に恵まれた淡路島は、朝廷に食物を献上した「御食国(みけつくに)」の呼称ももつ豊かな島。

©淡路はたらくカタチ研究島

「はたらくカタチ」は島民がつとめる地域アドバイザーや、外部の視点とノウハウで事業をサポートするスーパーバイザーなどの協力を得ながら、島に仕事をつくり、雇用を増やす数種類のプログラムを運営している。

開発から発売までを、公平に丁寧に。

こうして生まれた「はたらくカタチ」が商品開発の分野で最初に行ったのは、島民から「島の資源を生かした商品アイデア」を公募することでした。そして寄せられたアイデアのなかから実現可能性が高いものを選び出して、事務局でサンプル開発と試販を行いました。
さらにその結果やノウハウを公開したうえで、今度は本格的な商品化と販売を行う事業者を再び公募。決定した事業者がそれを本格的なビジネスに育てると、連動して島内の雇用も増える。さらにそのビジネスを自分でやるという事業者も出てくるはず。いずれにせよ、島で働く人が増える。それが「はたらくカタチ」のスキームでした。

「はたらくカタチ」で開発された商品が掲載されたパンフレット。早くも売り切れ商品も出ていて、これからの展開が楽しみ。

開発商品のひとつ「樹々のはちみつ」。島の天然林から日本蜜蜂が集めたはちみつで、淡路島に多い養蜂家とつながって生まれた商品。

観光ツアーも開発商品のひとつ。コース化したバージョンと、資源情報だけを提供して観光客が自分たちで旅を組み立てるバージョンの2種類がある。

「果たしてそんなにうまくいくの?」と思われるかもしれませんが、あにはからんや、結果を見ると、現在までに14商品が開発され、そのうち12商品はすでに発売が決まり、就職者も起業者もちゃんと増えています。
「仕事をつくる」と言葉で言うだけではなく、そのための道を拓き、案内板を付け、地図もつくり、確実に目的地に導く。そのプロセスを真剣に考え、丁寧に実行したことが、「はたらくカタチ」が成功した要因でした。

テーマも講師も「旬」の18講座でバックアップ。

研修風景。この日は料理開拓人の堀田裕介さんによる「海のめぐみを宝にかえるセミナー」の最終日。開発された「サメ料理」を試食して、今後の展開を検討した。

先に登場した商品開発と並ぶ「はたらくカタチ」のもうひとつのスゴ技をご紹介しましょう。
右の写真をご覧ください。これは「はたらくカタチ」が開催する研修の様子です。この研修のテーマは「海のめぐみを商品にする」。今をときめく料理開拓人の堀田裕介さんを講師に迎え、1年間に渡って、今まで捨てられていたサメを商品化する試みをしてきました。そしてこの日はついに開発にこぎつけたサメ料理の試食会。漁師、食品加工業者、飲食店経営者といった研修メンバーたちに披露されたのはサメのフリッター。ほのかなカレー味とサクっとした食感が絶妙で、全員が絶賛。4月1日から売り出すことが決まりました。

「はたらくカタチ」では、このような講座を、事業者向けと就職希望者(起業・第二創業※者を含む)向けに分けて年に18講座も開いています。取り上げるテーマも旬なら、講師も旬。おまけに無料。こんな講義や指導を受けて自分なりの"はたらくカタチ"が見えてきたら、淡路島で働きたくなる人が増えるのは自然の流れかもしれません。実際、この3年間でこれらの講座を受講したうちの相当数の人が新たに淡路島で仕事に就いています。

第二創業※
元からあった事業を新たな工夫で再生・発展させること。

4年に渡り研修の講師をつとめた堀田さんは、料理を通して社会の課題を整理したり、新しい食体験をプロデュースする「料理開拓人」として注目される旬の人。

研修会で開発された「サメのフリッター」。今まで捨てられていたサメを商品化しようという試みから生まれたメニュー。とても美味しく、全員一致で発売が決定した。

「はたらくカタチ」は、こうして確実に島と生きる人を増やし、島を元気にしています。そしてここから育ち巣立った人たちが、さらに新しい"はたらくカタチ"を見つけて増殖させること。それが本当の到達点だと、関わった誰もが感じているようです。「はたらくカタチ」は、こうして確実に島と生きる人を増やし、島を元気にしています。そしてここから育ち巣立った人たちが、さらに新しい"はたらくカタチ"を見つけて増殖させること。それが本当の到達点だと、関わった誰もが感じているようです。

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