ゼミナール

「住めば都」ゼミナール

元気なまち物語 ② 岡山県真庭市

真庭を元気にしている人たちに聞きました。

「どんな気持ちで、
どんなことをしているのですか?」

真庭に住む人は、みんなこのまちが大好き。
そしてまちへの深い愛情が、さまざまな活動を生んでいます。
真庭ラバーを代表して3人の方々に、お話をうかがいました。

インタビュー①
地域活動グループ「まにワッショイ」代表 岡本 康治さん

「まちおこしは自分おこし」。
だから仲間と一緒に、楽しみながらあれこれ挑戦しています。

同じ商店街に店をもつ「まにワッショイ」のメンバーと。時間があるとお互いを訪ね合ってあれこれ画策する。

Q. 「まにワッショイ」の活動は、国指定の文化財である「旧遷喬尋常小学校」で「なつかしの学校給食」を提供するという企画から始まったとか?

A. そうなんです。地元のホテルがギブアップした企画を、僕たち商店街の跡継ぎ仲間が「協力しあってやってみる?」と引き受けたのが始まりです。「元給食のおばちゃんを巻き込んでほんものの給食出したら面白いんじゃない?」と。もうかれこれ5年になりますけど、予想に反して下火にもならず、年々参加者が増えています。メンバーで「配膳ボーイズ」というバンドを結成して「あなたによそいたくて」という曲を作って、CDまで出したんですよ。

Q. 他にもまちおこしの企画やイベントを次々と実施していますが、どんな気持ちでやっていますか?

A. 僕は「まちおこしは自分おこし」と思っているんです。一人一人が楽しくやれば自分の可能性や能力に気付くでしょう。同様に、まちを使って何かをやれば、まちのポテンシャルや魅力に気付きます。この「気付き」が大事だと思うんです。実際、僕も、イベントをやっているうちに、「このまち、意外に若い人が多くいるな」とか「このまち、何もないと思ってたけど、結構、使えるものあるな」とかいうことが見え始めました。そうしたらイベントも自分たちの毎日もどんどん楽しくなってきたって感じですね。結局、まちおこしは大人のお楽しみなんですよね。

「まにワッショイ」の発行した冊子やリーフレット、そしてCD。「のみ~の」はいわゆる「まちバル」イベント。声を掛けたらすぐに26店が参加表明をしたそう。

地元の若手活動グループが運営する「なつかしの学校給食」。木造校舎の教室で、元給食調理員のつくったほんものの給食が食べられる企画で、申し込みが後を絶たない。

インタビュー②
真庭市役所 総合政策課 主査 吉鶴 尚美さん

移住者でもある行政マンの視線で、
「真庭で暮らす幸せ」を守る施策づくりに取り組んでいます。

湯原温泉への旅行がきっかけで真庭市の職員になったという吉鶴さん。「真庭は、自然が豊かで人が温かいまち。ここでの暮らしにはとても満足している」と言う。

Q. 吉鶴さんは、真庭市役所の職員であると同時に移住・定住者でもあるとか?

A. はい。3年半前に市職員となって真庭に移住してきて、今は総合政策課で市の政策づくりなどをしています。市長や市議会が決めた市のこれからの方向性を具体的な施策に落とし込む仕事です。一方で昨年、真庭に元旅館だった古い家を買って、移住者から定住者になりました。家の中に川が流れる、真庭の象徴的な家屋なんですよ。毎朝1時間、草むしりしてから出勤してます(笑)。

Q. そんな吉鶴さんから見ると、真庭はどんなまちですか?

A. 安心して穏やかに暮らせることが、このまちの何よりの魅力ですね。私が生まれ育ったまちはコンビナートが林立する企業城下町で、人々の暮らしが景気や企業の事情に振り回されていました。ちょっと景気が悪くなると、夜逃げが当たり前のような環境なんです。真庭ではそんなことは考えられません。ですから市民の皆さんに「この平穏で豊かな暮らしがある真庭に住むことの幸せを感じてもらいたい」と思いますし、移住者としての視点も加えてその幸せを守り、そのための施策づくりに取り組みたいと思っています。

真庭生まれの宮本隆志課長(交流定住推進課)は頼れる先輩。地元で生まれ育った人の視点や意見を知りたい時の絶好のヒアリング相手でもある。

インタビュー③
勝山町並み保存事業を応援する会 会長 行藤 公典さん

「住む人が楽しい」がいちばん大事。
無理のない「我が町企画」を開発・実行し続けています。

Q. 勝山の「町並み保存地区」の家々の軒にのれんを掛けて風情ある景観を醸し出す趣向は、いまや全国的に知られるようになりましたね。2009年には国土交通省の都市景観大賞「美しいまち並み大賞」にも選ばれました。

A. 20年前に、勝山にUターンしてきた染織作家の加納容子さんが軒先にかけた自作の草木染めののれんを見た時に、「町内全戸が軒先にこんなのれんを掛けたら、きっと楽しい町並みになるだろうな」と思ったことが「のれんの町並みづくり」の始まりでした。市に補助金を付けてもらって、私の町内15軒に、加納さんが作ってくれた一軒一軒違う草木染めののれんを掛けたら、それを見た近隣の町内が「うちもしたい」「うちも」「うちも」となり、今は約90軒がのれんを掛けるようになりました。

「まちを使って楽しむ、遊ぶ」が大好きな行藤さん。のれんの次は木彫アートでまちを彩る取り組みを考え中。路上、酒蔵、旅館などを使ったプロジェクションマッピングも数年前から行っている。

Q. ずい分観光客が増えたでしょうね?

A. 結果的には増えましたがそれが狙いではなくて、真の目的は「住む人が楽しむこと」です。他にも町内の家を開放して「お雛祭り」や「クラフト体験市」を開いていますが、それらも観光客を呼ぶためではなく、「まちや家を会場に外来の人たちと遊べたら、きっと楽しいし嬉しいだろう」という思いでしていることです。ですからイベントのプロを呼ぶことなんかもなくて、町のみんなと一緒に手作りでできるようにやっているだけですね。お雛祭りの時には「応援する会」で、江戸時代にお雛祭りの時だけに各家でつくられていた饅頭を復活させて販売して、補助金を捻出したりして……。終了後には無料休憩所にしている空き家の古民家で打ち上げやるんですけど、これが楽しいんですよね。悩みは、僕たちの年代のメンバーが濃すぎて、若手が「応援する会」に参入してきてくれないことですね。もう諦めましたけどね、入ってもかわいそうなだけだし(笑)。

各家に掛けるのれんは、加納さんと話し合いながら一枚ずつ作ってもらう。その家の歴史や物語、家業、好みなどが込められた意匠で城下町の家並を彩る。

160軒の民家が所有する雛人形を自分の家で披露する「勝山のお雛まつり」。各家が思い思いに演出する、手作り感あふれるまちおこしイベント。

町内の家を会場にクラフトのワークショップをするイベントも開催。どの民家も快くスペースを提供してくれて、3回目を迎えている。

真庭フォトギャラリー
MANIWA PHOTO GALLERY

まちを歩いて発見したひとこまを、写真でご紹介するコーナーです。
カメラが切り取った一瞬に、まちに流れる時間や空気を感じてください。

[旧遷喬尋常小学校]

(左) 久世地区に建つ「旧遷喬尋常小学校」は築141年。町の年間予算が6千円の当時、1万8千円をかけて建造した贅沢な木造近代建築。

(中央) 2階にある講堂。電気のない時代に明るさを確保するためにガラス窓を多用している。天井は、柾目ヒノキを使った二重折り上げの格天井。

(右) 建築関係の来訪者が感心するという木造の螺旋階段は、極めて美しい比率で構成されている。

[富原のヒノキ美林]

(左) しっかりと間伐され、大切に育てられている林であることが、見上げた時の造形で分かる。

(中央) 行き届いた間伐のおかげで陽が入り、木はさらに育つ。高性能林業機械が入るように林道もよく整備されている。

(右) この美林には120年生のヒノキも多数ある。山の持ち主である戸田顕治さんは8代目となる。

[まちと子ども]

(左) 旧遷喬尋常小学校の校庭は、幼児たちの遊び場にもなっている。さあ、お弁当の時間。

(中央) 勝山のまちを流れる旭川には何本もの石橋が掛かる。その中の一本、神橋を走り渡って小学生が下校する。

(右) 勝山新町商店街のヒノキ造りのアーケード。大雪に耐えるために、屋根がない。その下を行く部活帰りの男子生徒。

取材:2015年10月
撮影:今井大輔・銭場千夏(株式会社フレンズ)

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