ゼミナール

「住めば都」ゼミナール

元気なまち物語 ① 長崎県佐世保市 栄・常盤地区

このまちを未来に残したい

新しい商店街づくりに挑戦した
「栄・常盤地区」

2015年8月11日更新

今回フォーカスするのは、
日本一長い「さるくシティ403アーケード」の西の終点近くにある
「栄・常盤地区」です。
このまちは、「買う」だけでなく、「住む」「集う」「楽しむ」といった
多彩な機能をもつ商店街づくりに挑戦し、
2014月10月、14年に渡る再開発をついに完成させました。
その物語について、
「栄・常盤地区市街地再開発組合」副理事長宮崎有恆さん
お聞きしてみましょう。

再開発組合の副理事長をつとめた
宮崎有恆さん。

14年がかりのまちづくりの完成おめでとうございます。

宮崎 ありがとうございます。この14年間は、ひとことで言うと「辛抱の14年」でした。101人もいる権利者の取りまとめが難航したり、資金面が厳しかったり、途中で何度も「もうダメか・・・」というピンチがありましたが、絶対に後戻りできないという覚悟を持って、関係者全員が必死で取り組んできました。なかでも井手常博理事長の「自分の権利床はどこでも結構、他の権利者を優先してほしい」という滅私の心とリーダーシップ、コンサルタントの奉仕と情熱、そして行政(特に佐世保市)のご支援はすごいもので、これらがなければひょっとしたらいまだ完成に至っていないかもしれません。

宮崎さん(左)と、
ずっと苦労を共にしてきた事務局長の中野勝義さん。

竣工式の時に使った祝い枡。14年の思いが詰まった祝い酒を、これで飲んだ。

どんなまちづくりを目指したのですか?

宮崎 商業(商店)のみを活性化させるのではなく、街区全体を元気にして、人がたくさんいるまちにしたいと考えました。というのは、403アーケードの西の端に近いところにあるサンクル街区の立地や利用者を考えたときに、すごいファッションブランドのショップを誘致したり、画期的にスタイリッシュな建物にしたりしても、おそらくすぐに維持できなくなることが予測できました。それよりは、現実に即し、地に足の着いた建物や入居者構成を考え、それを実現させたほうが、まちのためでも、人のためでもあるのではないかと考えたのです。

サンクルを構成するのは4つのビル。

宮崎 そしてそれを実現するための具体的な方法を2つ考えました。ひとつは集合住宅を併設して定住者を増やすこと。もうひとつは店舗以外も誘致して、入居者をバラエティに富ますことで、まちの機能を多面的にすることです。 そこで1階は小売店舗、2階は佐世保市の公共施設(中央公民館・福祉活動プラザ・こども発達センター)やクリニックモールなどをゾーニングして、入居者をバラエティーに富ませることでサンクルを訪れる人も多彩にすることを計画しました。

※中央公民館とこども発達センターは一部1階にも入居。

宮崎 また4棟のうち2棟(1番館と3番館)にマンションを作り、定住者を増やす作戦にしました。その権利取得をしてくれたのがマリモさんなのですが、早期に完売させていただき、2棟で139戸が販売用として確保でき、新たに300人を超える定住者が生まれました。
さらに残る2棟のうちの4番館にはマンション居住者用も含む大型駐車場をつくり、2番館では高齢者施設を運営してもらうことにしました。

4棟の内2棟に建造されたタワーマンションによって、139家族がこのまちの新しい住民となった。

テナント誘致は計画通りいきましたか?

宮崎 有名な商店を含め、入居してほしいと思ったところには一生懸命プロポーズしました。その結果、出店してくれたのが、たとえば「蜂の家」さんや、豚の角煮まんで有名な「岩崎本舗」さん、スーパーの「エレナ」さん、クリーニングの「みつばチェーン」さん、「まきの整形外科医院」さんなどです。まきの先生など、他で開業されたばかりだったのにサンクルに来てくださったし、エレナさんもサンクルのためにわざわざミニスーパーの業態を開発して出店してくださいました。

子育て支援施設も入居。便利で通いやすいと好評。

車の通らない安全な通路としても重宝されている。

宮崎 また佐世保市が「中央公民館」や「福祉活動プラザ」や「こども発達センター」を移転させてくれたのもありがたかったですね。
テナントについては、これからもサンクルの在り方につれてまた変化していくと思っていますし、それでいいと思っています。まちと店と人がお互いに必要としあうことが幸せな関係だと思いますから。

1番館には市の協力で移転してきた中央公民館が、2番館にはクリニックモールと高齢者施設が入居している。

最寄りのバス停に設置されているサンクルの入居施設案内板。

これからこのまちをどのようにしていきたいですか?

宮崎 まちづくりはこれで終わったわけではないと、私は思っています。ぜひ、ここから周辺の街区へと再開発が広がっていってほしいのです。そうでないと商店街の未来はきっと厳しいものになると思うのです。それにあたっては、先んじて苦労した私たちの経験とノウハウを使ってくださればと思います。
そして最終的には、この商店街が、大都市への人口や買い物の流出を止めて、力強い雇用を生み出すようになってほしいです。それができて初めてまちづくりは成功したと言えるのではないかと思うのです。つまり、いまから、ここからが勝負なんです。

インタビューを行った「さんくるキッチン」は、「佐世保まちづくり株式会社」が運営するカジュアルレストラン。4人の若者が正規雇用されている。

「これで終わりじゃない。目指しているのは、ここから広がるまちづくり」。

それでは、次に、実際にサンクルに出店しているテナントの方々に、お話を聞いてみましょう。

  • 1
  • 2

ようこそ、マリモリビングオープンキャンパスへ学長メッセージ 開校のごあいさつ