ゼミナール

「住めば都」ゼミナール

住めば都でした ②

西沢康子さん×二拠点居住(東京・千葉)

2015年12月25日更新

縁あってある土地に巡り合い、自分らしく暮らしている。
そんな人を訪ねて、その土地の魅力や生活の様子、
そして日々の思いを聞いてみます。
そこはなぜ、あなたの「住めば都」になったのでしょうか。
人とまちと暮らし方へのこだわりが織りなす、
小さいけれど、思いがつまった物語を探し出しに行きましょう。

東京・豊洲と千葉・稲毛で、異なるライフスタイルを楽しんでいる西沢さん。豊洲(写真上段)では歌舞伎、落語、友人との会食などの「遊び」が、稲毛(写真下段)では読書やパソコン教室など「学び」が、暮らしの中心となっている。この贅沢なライフスタイルは、長年一線で働いてきたことへのご褒美でもある。

長年、出版社で雑誌編集者として活躍した西沢さん(60歳代)は、若い頃からその時々のライフスタイルや状況に合わせてベストな住居を選んで住み替えてきました。リタイアした今は、特性の違う2つのマンションを行き来して、それぞれの良さを楽しむ毎日を送っています。

ずい分たくさんの転居を重ねられたとか?

回数はさておき、私の転居の特徴は、だいたい10年ごとに人生の転機に合わせて住むまちと住み方を変えてきたことですね。働き出してから最初の10年は埼玉県の越谷の実家住まい。30歳からは西麻布のワンルームマンションで一人暮らし。40歳代で年老いてきた父親との二世帯同居をするために杉並区に一軒家を建て、50歳代は親の介護に便利な向島のマンションに仮住まい。そして親が亡くなり、自分もリタイアした今は豊洲のタワーマンションに住んでいます。

各々の住まいと転居について、もう少し詳しく教えていただけますか。

西麻布で一人暮らしをした時は仕事を終えてマンションに帰り、シャワーを浴びてから夜のまちに遊びに出る。そんな典型的な都会の独身女性の暮らしでした。

40代の頃に母が亡くなり、高齢の父親と同居するために杉並に2世帯住宅を建てた時には、そこを「終の棲家」にしようと思ったのですが、あにはからんや父親が認知症になって、私が仕事に行っている間、父を杉並の家に一人で置いておくわけにいかなくなりました。

戸建て住宅での暮らしも何度か経験したが、今はマンションのほうが管理が楽で住みやすいと感じている。現在住む豊洲のマンションは80m²の2LDK、稲毛は33m²のワンルーム。

それで兄にも助けてもらおうと杉並の家を賃貸に出して、兄の家に近い向島のマンションに父と二人で移り住んだのです。こう言うと、仕事と介護の両立でさぞ大変なことになったと思うでしょう? でも、家族同然に思えるヘルパーさんに出会えたおかげで、快適で穏やかな暮らしができていたんですよね。ルール違反ですけど内緒で私のご飯を作ってもらったり、ワンコの散歩をしてもらったり(笑)。こうして無事に父の最期を看取ったところで、さてどうしようかと・・・。

「終の棲家」と考えていた杉並の家には戻らなかったのですか?

マンションの快適さを向島で体感したので戸建てに戻ろうという気にはなれなかったですね。それにこれからは一人暮らしになるし、近いうちにリタイアもするので、もう少しワクワクするような環境に身を置きたい気持ちが強くなっていました。

そこで新しい住居を探しているうちに、「ここ!」と思う物件に出会いました。それが現在住んでいる豊洲のタワーマンションです。

「ここ!」と思ったいちばんの理由は、40年間通勤した銀座に近いからです。住まいこそ転々としましたが、通勤は銀座一筋でしたから馴染みの店や気に入った図書館などもあり、このまちから離れたくなかったんです。

それに、ここはリタイア後の暮らしに必要なほぼすべてのものが揃ったマンションでした。4重ロックでセキュリティは万全。1階には住民専用のコンビニがあり、さらに隣の大型商業施設とは地下通路で繋がっていて、スーパーで買った食材はカートで部屋まで運べるし、シネマコンプレックスには部屋着とサンダルで映画を観に行ける。東急ハンズや大型書店、レストラン街やスポーツジム、100円ショップまであって、日常生活が億劫になりつつある年齢の者にとって、まさに至れり尽くせりの住環境なのです。

しかし西沢さんは昨秋、稲毛にもうひとつ別のマンションを買い、いわゆる「二拠点居住」を始めた。何の不満も不足もない都会生活を送っているはずなのに、なぜそのような選択をしたのだろうか。

「二拠点居住」を考えるようになったきっかけは?

2年前に体調を崩したことです。タワーマンションの一室で寝込みながら、これから先、こうしてまったくの一人で暮らすことに不安を覚えたのです。それで稲毛のシニア向けマンション(スマートコミュニティ稲毛)に目を付けました。ここは24時間管理体制の分譲マンションで、困ったことがあればスタッフの方がすぐに駆けつけて助けてくれますし、向かいに住民用のクラブハウスがあり、そこではシニア向けの教室やクラブ活動が80余りも次から次へと催されていて、自由に参加できるんです。さらに月々支払う定額費用の中にビュッフェスタイルの朝食と好きなレストランを選んで食べる夕食が付いているので、食事づくりから解放され、なおかつ規則正しい食生活ができるのも嬉しいんですよね。。

元編集者で読書が大好きな西沢さんは、クラブハウス内にある図書コーナーがお気に入り。ひとり部屋にこもって読むよりも集中できる感じがするとか。

クラブハウス内には5つのレストランがあり、夕食は、和・洋・海鮮・肉料理の4つのレストランから好きな店を選んで食べるシステム。朝食はビュッフェスタイル。

稲毛のシニア向けマンションには、スタッフがいつも気に掛けてくれるという安心感がある。時には日常の相談にも乗ってもらう。

クラブハウスでは80種類余りのクラブ活動や教室が毎日次々と開催されていて、いくつでも自由に参加や受講ができる。

西沢さんのお気に入りの夕食は、2階レストラン街にある肉料理店「腹笑」のしゃぶしゃぶ。「いいお肉を使っているし、ポン酢のお味も美味しいんです」。

当分この生活を続けるのですか?

そうですね。歌舞伎が大好きなのですが、豊洲のマンションからだと歌舞伎座や新橋演舞場にはバスで12、3分、国立劇場にも地下鉄で1本。さらに最近は落語にもハマっていて、志の輔さん・談春さんはほとんど「追っかけ」状態(笑)。他にも好みの落語家は数多くいて、多い時は週2〜3回落語に行ってますね。こんな生活ができるのも都会のマンション暮らしだからこそです。でも一方で、都会での趣味は「落語を聴く」「歌舞伎を観る」とあくまで受動的。その点、クラブ活動が盛んな稲毛のマンションには自分自身が「何かをやる」という能動的な楽しみがあります。

落語や歌舞伎に行く時には、時間の許す限りきものを着て行くことにしている。粋なきものが好きでつい買ってしまう。

稲毛のマンションと豊洲は「ちばきたライナー」というバスで行き来している。乗車時間は約50分。
車中ではYouTubeで落語を聞きながら過ごす。

東京行きのバス停の近くではこんな風景も見られる。季節や旬を感じてから都会へのバスに乗る。

今はまだ入ったばかりでパソコン教室だけですが、近いうちにテニスサークルにも入る予定です。入居者の方も多種多彩で、どうやら新しい入居者の中に歌舞伎座で働いていた方がいらっしゃるみたいなので、ぜひお話をお聞きしたいとワクワクしたりもしています。

今は豊洲と稲毛の間を1週間に一度往復していますが、バスで50分の移動も旅気分で楽しいので、元気な限りこの二拠点居住の暮らしを続けたいと思っています。

取材:2015年12月
撮影:銭場千夏(株式会社フレンズ)

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